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*あたたかな手(non fiction)*
この細い指先を包み込んでくれるあたたかな手をずっと待っていた。
死んだ方がマシと思えたあの夜からずっと。

月の綺麗な夜更けに、幼い私の心と身体はぼろぼろにされた。
泣き叫んで抵抗すれば良かったのに、私は黙って貪られた。
私が騒いだら、お母さんが起きてしまう。
酔っぱらって私の上に乗るお父さんを刺し殺してしまうかもしれない。
私さえ我慢すればいつも通りの朝がやってくる。
そう思って全ての痛みに耐えた。

その頃から私は自分自身を傷つけるようになった。
それは十年以上も続いた。
腕を切った。首を切った。色んな場所を、煙草の火で焼いた。
狂わないでいるだけで精一杯で、大学だとか就職だとか、そんな事は考えられなかった。
精神的にぼろぼろになって、二十歳を過ぎた頃、私の身体は食べる物も受け付けなくなった。
朝から晩まで薬とナイフを手放せずに、憔悴しきった私はある日、自制心がきかなくなってお母さんに全てを話した。

お母さんはすぐに私を家から出して、次いで自分も姉を連れて家を出て行った。
その数年後、ひとり家に取り残されたお父さんは酒と風邪薬の過剰摂取で死んだ。

欲しかったのはあたたかな手で、私をどうにかまともな道へと導くように手を引いてくれる存在だった。
運命か偶然か、そのあたたかな手は私に差し延べられた。
私の手を握る大きな手は冷たく荒れているけれど、今までに感じたどの感覚より愛おしい。

今も私の手を引いてくれるあたたかな手を、私は一生離さない。
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[2010/05/14 02:38] | 随筆―smoking room | コメント(0) |
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*My Blue Heaven*


私の記憶の中から、思い出せる限りの事を『小説・文学』カテゴリに。   私の現在を、『ブログ』カテゴリに。

プロフィール

遊

Author:遊
Name:百瀬 遊(Yu Momose)
Birthday:01/28
Blood type: B
Sex:F

●がタイトルにつく場合ブログ、
*がタイトルにつく場合が小説です。

◆初期小説は、書き下ろしのノンフィクションを載せています。
※カテゴリ別に読んで頂ければ、多少なりわかりやすく表示されると思います。
※表記の多い、自傷、ドラッグ、売春はすでに卒業しています。
ドラッグと売春は犯罪ですので、(今更ですが)やっちゃダメな事です。
自傷は犯罪じゃないみたいですが、周りの人が痛いのであまりお勧めできません。
◆09年8月以降、フィクションを増やしていく予定です。
ノンフィクションの場合は題名に表記します。

※著作権・肖像権の侵害、あるいは転載などは禁止とさせていただきますので、よろしくお願いします。

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