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*月光*
眠れなくて窓の外を眺めたけれど、空は分厚い雲に覆われて、下弦の月は見えなかった。
昨日も今日も明日にもする事やしなくちゃならない事は山積みで、それさえ手に余るというのに眠れないなんて、何て残酷なんだろう。

心の中は嵐が吹き荒れている状態で、けれどそれは決してネガティヴな感情ではなく、一種の興奮に似た―――明日の事や近い未来に思いを馳せて、目が冴えてしまうような状態だ。
小さな子供が運動会の前日に眠れなくなる様な感覚に似ている。

心の中の嵐を避けるように在るのは、白砂で出来た小高い丘に囲まれた小さな湖だ。
空は墨を流したように暗く濁っていて、上空を風が吹き荒れる中、そのエメラルドグリーンの小さな湖だけが凪いでいる。
「わたし」は湖に小舟を浮かべて、ずっとずっと長い間、いつか吹く風が小舟を岸辺まで戻してくれるのだと信じていた。
岸に辿り着いた時、誰かがそっと手を差し伸べてくれるのだと信じていた。
そればかりを期待して、もうどれだけの歳月が流れただろうか。

太陽の光も射さず、草木のひとつも見当たらない荒地の中の湖を漂いながら、「わたし」は一度も眠りに落ちる事は無かった。
何かを食するわけでもなく、布を纏う事もせず、単体で小舟に揺られながら、「わたし」はいつの日か誰か心の通じ合えるものに出会える事を信じて疑わなかった。それが人間でも、動物でも、魚でも。
けれど、なにものにも会えなかった。

櫂も舵もついていない小舟に揺られながら、「わたし」はほんの数回、黒雲の隙間に月の光を見た。
それはとても穏やかで神々しくて、「わたし」のやせ細った白い体をすり抜けるように光を投げかけた。
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[2010/03/06 05:00] | 随筆―smoking room | コメント(0) |
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*My Blue Heaven*


私の記憶の中から、思い出せる限りの事を『小説・文学』カテゴリに。   私の現在を、『ブログ』カテゴリに。

プロフィール

遊

Author:遊
Name:百瀬 遊(Yu Momose)
Birthday:01/28
Blood type: B
Sex:F

●がタイトルにつく場合ブログ、
*がタイトルにつく場合が小説です。

◆初期小説は、書き下ろしのノンフィクションを載せています。
※カテゴリ別に読んで頂ければ、多少なりわかりやすく表示されると思います。
※表記の多い、自傷、ドラッグ、売春はすでに卒業しています。
ドラッグと売春は犯罪ですので、(今更ですが)やっちゃダメな事です。
自傷は犯罪じゃないみたいですが、周りの人が痛いのであまりお勧めできません。
◆09年8月以降、フィクションを増やしていく予定です。
ノンフィクションの場合は題名に表記します。

※著作権・肖像権の侵害、あるいは転載などは禁止とさせていただきますので、よろしくお願いします。

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