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*Mobscene 6*
*Mobscene 5*の続き
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《12月10日 23:31》しばらくお店休んじゃってゴメンネ。蘭に会いに来てくれ
たみんな、心配かけちゃってごめんなさい。。。インフルエンザがなかなか治ら
なくて…。もうちょっとお休みさせてもらって、元気になったら復帰するから、
待っててね!蘭でした~(o^-^o)

『蘭はまだ治ンねェのか』
大西は不機嫌な顔で三上を怒鳴りつけた。蘭が店を休んで一週間になる。
店に足を運んでも、蘭がいない事を聞くと、そのまま帰ってしまう客も少なくない。
『…はぁ。まだショックから立ち直っていないようで』

三上は店側には蘭がインフルエンザだと言っておいたが、大西には、蘭が吐いた嘘をそのまま話していた。帰宅途中で暴行された、と。
けれど三上はその話が嘘である事を分かっていた。恐らく、松岡に痛めつけられたのだという事を。
大西もまた、それとなく事情は察していたが、松岡の事を蘭に問いただせば激昂される事はわかりきっているので、煮えきらない気持ちを抑えていた。


散らかった部屋をそのままに、蘭が消えてから一週間近く経つ。
松岡は蘭の行方がわからない事に一抹の不安を覚えながらも、蘭が失踪した事に関して罪悪感は無かった。
何故なら、蘭を絞め殺そうとした時の記憶など、アルコールのせいでほとんど残っていなかったからだ。
ただ気がかりなのは、自分は蘭のヒモ同然の暮らしをしているため、遊ぶ金が尽きたらどうする、それだけだった。

けれど、もうじき大金が手に入る。拳銃ももうこの手の内にあるのだ。
松岡の中に、蘭に対する愛情は無いと言って良かった。彼は、自分さえ愉しくやれればそれで良いと思っていたし、女など利用するだけのモノにすぎないと思っていたからだ。


蘭は殺風景な三上の部屋に寝そべって、床に直接置かれたテレビをぼんやり眺めていた。
一週間、ほとんど喉を使わなかったので、少ししわがれた、良く言えばハスキーな声なら出るようになっていた。

…だけど、こんな声を持っていたとして、それが一体何になるのだろう。
あたしは歌姫になるのが夢で、今は底辺に落ちていたって、いずれはステージに這上がりスターダムにのし上がるのが夢だったのに…。
今のあたしは底辺どころじゃない、奈落の底だ。
奈落、のほうがまだましかもしれない。奈落は舞台のすぐ下にあるもの。
ブログでは強がって、元気な振りをしているけれど、今のあたしは空っぽの心に汚泥を流し込まれた気分だ。

くだらない馬鹿騒ぎを繰り広げるテレビの電源を切ったと同時に、携帯電話の着信音が鳴った。液晶には《龍》と出ている。松岡だ。
蘭は最初、それを横目で流したけれど、いつまで経っても着信音が鳴り止まないので、仕方なく通話ボタンを押した。

『…真衣?ひどい声だな。風邪でもひいてるのか?』
思わず携帯電話を壁に叩きつけたくなる。その衝動をかろうじて抑えて、何でもない、と低く呟く。
『…何か用?』
『いやさ、お前最近ずっと帰ってねぇじゃん?店出てンの?』
『休んでる。でも店には話通してあるから』
『いつこっち帰ンのよ?』
『…さあ。』
話しているのも面倒臭くなって、蘭は一方的に電話を切った。
どうせ用件は、家賃の無心に決まってる。またかかって来るかと暫く身構えていたが、それきり携帯電話が鳴る事は無
かった。
ただただ虚しかった。どうせ自分は龍司にとってお財布でしかない事は、最初からわかっていた。でも、それでも良いと思っていた。龍司があたしを必要としてくれる、たまらなく甘い声と端正な容姿が、時たま見せる子どものような表情がたまらなく好きだった。たまらなく。
でも、今のあたしの中にはそんな感情は無くて、汚泥の詰まった心の中はひたすらに虚しくて苦しかった。
こんな時に、どう足掻いたらいいのか、蘭はその術を知らなかった。
そして、これから始まるもっと悪い事さえ、予想すら出来ずに一人部屋の中で静かに泣きながら佇んでいた。
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[2010/02/07 05:54] | *Mobscene*(※休載中) | コメント(0) |
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私の記憶の中から、思い出せる限りの事を『小説・文学』カテゴリに。   私の現在を、『ブログ』カテゴリに。

プロフィール

遊

Author:遊
Name:百瀬 遊(Yu Momose)
Birthday:01/28
Blood type: B
Sex:F

●がタイトルにつく場合ブログ、
*がタイトルにつく場合が小説です。

◆初期小説は、書き下ろしのノンフィクションを載せています。
※カテゴリ別に読んで頂ければ、多少なりわかりやすく表示されると思います。
※表記の多い、自傷、ドラッグ、売春はすでに卒業しています。
ドラッグと売春は犯罪ですので、(今更ですが)やっちゃダメな事です。
自傷は犯罪じゃないみたいですが、周りの人が痛いのであまりお勧めできません。
◆09年8月以降、フィクションを増やしていく予定です。
ノンフィクションの場合は題名に表記します。

※著作権・肖像権の侵害、あるいは転載などは禁止とさせていただきますので、よろしくお願いします。

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