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◆花の価値◆
茶紙に包まれた橙色の薔薇の花弁を一枚一枚ちぎりながら、帰り道を進んだ。

明日はあたしの誕生日だから、花瓶にたくさんの花を入れて飾りたかったんだ。
今、家に在る花は、ピンクとクリーム色のグラデーションの綺麗なカーネーションと、薄紫のストック。
その花に合わせて、オレンジの薔薇と紅色の百合が欲しかったんだ。

『その薔薇3本と、赤い百合1本下さい』
勤め先の花屋に寄って、そう言ったら、店長はあからさまに困った顔をした。
『薔薇?この薔薇は売りたくないんだよ。高いし』
…それって、あたしに売りたくない、って事?
『高い花はね、大切なんだよ。それをぽんぽん買って行かれると…。』
…同じ事を、同じものを求めた一般客に言えるの?

売ってなんぼの商売でしょう?買った後、その花をどう扱うかなんて、客の自由じゃない。

何だかすごく厭な気持になった。
夏にダリアを買った時もそうだった。店長は同じ様な事を言い、渋々ダリアを売ってくれた。
どうしてあたしだけ?この店の従業員だから?
いくら高い花を買ったって、僅か数日で枯らして何度も店に通う客だって少なくないのに。

『じゃあ、何の花ならいいんですか?ガーベラ?チューリップ?』
『……いいよ、もういい。この薔薇と、百合、ね。』
店長は花を保護しているビニールを外して、百合と薔薇を組み合わせた。
『長さ、このくらいでいい?』
『はい。長かったら、うちで切るから。』
そう言うと、店長はまた呆れたような厭な顔をした。
『で、幾らですか?』
あたしが尋ねると、店長は思い切り不機嫌に、
『もういいよ。あげるよ。持って行きな。代金はいいから』
と、言って、あたしに茶紙に巻いた花を押し付けた。

ますます意味がわからない。
高いからといって散々売り渋って、今度は当てつけのようにただで持って行けと言う。
幾ら決算の時期で忙しくても、あたしに八つ当たりすることないじゃない。

『花の価値くらい、あたしだって少しはわかってるつもり。明日が誕生日だったから、綺麗に飾りたかっただけ!』
そう言って、店を飛び出した。

帰り道、あたしは「もらった」花の花弁全てを、ヘンゼルとグレーテルの寓話のように道路に撒き散らしながら帰った。
すごく厭な気持でいっぱいだった。もう二度と、自分の勤め先では花を買わない事を心に決めた。
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[2010/01/28 01:53] | 随筆―smoking room | コメント(0) |
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私の記憶の中から、思い出せる限りの事を『小説・文学』カテゴリに。   私の現在を、『ブログ』カテゴリに。

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Author:遊
Name:百瀬 遊(Yu Momose)
Birthday:01/28
Blood type: B
Sex:F

●がタイトルにつく場合ブログ、
*がタイトルにつく場合が小説です。

◆初期小説は、書き下ろしのノンフィクションを載せています。
※カテゴリ別に読んで頂ければ、多少なりわかりやすく表示されると思います。
※表記の多い、自傷、ドラッグ、売春はすでに卒業しています。
ドラッグと売春は犯罪ですので、(今更ですが)やっちゃダメな事です。
自傷は犯罪じゃないみたいですが、周りの人が痛いのであまりお勧めできません。
◆09年8月以降、フィクションを増やしていく予定です。
ノンフィクションの場合は題名に表記します。

※著作権・肖像権の侵害、あるいは転載などは禁止とさせていただきますので、よろしくお願いします。

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