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●実家に帰ってました●
戸隠神社(奥社)


お久しぶりです★先週は実家の長野県へ帰っていました。
桜がそろそろ見頃かな~と思いつつ、高速バスに揺られて帰るも…冬。。。
高原に至っては写真の通り(戸隠神社・奥社)、吹雪でした。
そんなわけで、実家近くではお花見できませんでしたね…諏訪湖もずっとガスってたし。

今話題沸騰中(?)のパワースポット、『分杭峠』にも行ってきましたよ。
冷たい雨の中、私を含めて3組も観光に来ていました。
ゼロ磁場と云うだけあって、そこに居るだけで不思議な感覚。
体を機械に例えるなら、一度全部を分解して洗い流して、新しいパーツを入れて組み立てなおしたような感覚でした。
確かにパワースポットだった!と改めて実感。
持って帰った石ころを、なぜかうちのにゃんこが気に入って、その石の傍で昼寝したり、前足でちょいちょい触ってばかりいます。動物にもわかるのかな?

伊那谷の鹿料理も美味しかったです。大鹿村という小さな集落があって、そこの食堂で頂いたんですが、刺身にする部分を漬け込んで焼いたものの定食。
少しレバーのような癖のある牛肉のような…表現が難しいけれど美味しかったです。

それから、写真の『戸隠神社』。
ここの奥社のおみくじはいつも当たるんです、なぜか。
なので、今回も吹雪に負けず参拝してきました。おみくじは、吉。
だけどどうやら今年は子どもが出来る可能性があるらしい(笑)。
私はこんなご時世だし、子どもは欲しくないんですが神様。。。
「但し、夫婦の道、正しきに随わざれば身に災いをうくべし」
…スミマセン、私、夫以外の男性の子どもなら欲しいんです(爆弾発言)。
夫とは友情婚のような感じなので、正直想像もつかない。神様ごめんなさい。。。

そんなわけで、まだまだ書けるネタもいろいろありますが、今回はこの辺で。
小説もちょくちょく上げて行きますので、これからも宜しくお願いします★

百瀬 遊

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[2010/04/27 13:18] | ブログ |
*春*
spring

花が咲く。咲いて、散って行く。
季節の移ろいは早くて、気がつけば四月も残す所あと半月だ。
今年の春は暖かかったり寒かったり、気候に振りまわされて心の余裕がほとんど持てなかった。
桜を愛でる余裕すら持てずに、ただ只管に自分の事に精一杯になっていた気がする。

何故だろう。
誰も追いかけては来ないのに、何も恐ろしい事など無いのに、不安で仕方なかった。
惰眠を貪り、夢の中で楽しく幸福な時間を過ごし、目覚めた時に谷底に突き落とされた気分になる。
現実の方が、本当は素晴らしいのだろう。人生は、美しいのであろう。
けれど私は生きる気力を失いかけていた。ものを食べる事さえ無理矢理詰め込むように、ただこの身体を生かすためだけに動いていた、そんな気がする。
現代風に云えば、鬱、とでも云うのだろうか。

最高の幕開けで今年が始まって、それから停滞しつつ今に至る。
なんて抽象的な事を書いても仕方がない。
具体的に書けば、書くのが切なくなってくるから書けない。
ただ、私と誰かの胸に仕舞っておく秘密。
嗚呼、何か良い事無いかなぁ。

せっかく鬱状態から抜け出したのだから、幸せが訪れますように。
…違う、掴み取るのだ、幸せと云うものは扉を叩いてはいこんにちわと軽々しくやってくるものではない。

掴み取ろうか、この細い非力な手で。


花は散り行くから嫌い、と私は云った。
花は枯れるから美しいんだよ、と彼は云った。
季節は移ろう。花はそこかしこに咲いては散っていく。

早く夏が来ればいい。
全てを焼き尽くすほどの灼熱の太陽に負けない花は、長く咲いてくれるから。
[2010/04/15 18:49] | 随筆―smoking room | コメント(0) |
*宛て処の無い旅(non fiction)*
***

缶珈琲を飲みながら電車に揺られ、移ろう景色を眺めながら、イヤフォンから流れる音楽を聴く。
車窓の向こうでは、桜の花びらが雪のように舞っている。
昨晩拡張したばかりのピアスの穴が、まだ少し痛む。

春の麗かな陽気と生温さで体は少しだるい。
昨日の夜は仲々寝付けずに、結局朝の六時に眠り、昼の一時に起きた。
こんな滅茶苦茶な生活を続けていたら、きっと長生き出来ないだろう。
だけど、長生きしたって幸福だとは限らない。

私にはきちんとした肩書きが無い。
やりたい事は十代の頃から見つからないまま。十年以上も見つからないから、焦る。
今、やりたい事が見つかったとして、これから努力した所でそれが実を結ぶのは何年後になるのだろう。
急いで動かなければ、私は私の人生を無駄に過ごしたと後悔しながら死ぬ事になるだろう。

電車が終点に着き、大勢の人々が一斉に電車を降りてそれぞれの目的地へと進む。
私に目的地は無い。ただ何となく電車に乗ってみたくて、思い立って飛び乗っただけだ。

地下鉄の券売機で適当に切符を買い、今度は地下鉄に乗り込む。
地下鉄は景色が見えないから、到着駅を告げる車内アナウンスが聞こえるようにMP3のボリュームを少し落とす。

外に出れば、何かしらチャンスが転がっているかもしれない。
そんな淡い期待を胸に抱いて、もう何年、何回あてどなく表に出ただろう。
当たり前だけれどチャンスなんてそう簡単に転がっているわけが無く、結果は毎回空振りだ。
それでも私は出掛けずにはいられない。家の中で腐って行くのを我慢している位なら、誰に会うわけでなくても何か目的があるわけでないにしても、出掛ける事で無意識に呼吸が出来る。
一人で家にいると、息の仕方さえわからなくなる時があるのだ。

肩書きを『主婦』にされてから2年。
子どもをもうけるつもりも無いし、家事に専念するつもりも無い。
つまりは、そんな程度の情で成り行きに結婚した自分自身に今だに戸惑っているのだ。
主婦なんて、一番嫌いな肩書きだ。

私はもっときちんとした―――例えば世の中に多少なり認められた『芸術家』のような肩書きなら欲しいと思う。
否、本当は肩書きなんて欲しくない。そんな物、自分以外の人間達が勝手に付けた俗称に過ぎない。そんな物を気にして、振り回されて一体何が楽しいの。
何人もの見知らぬ人々と同じ車両に揺られているうちに、不意に馬鹿馬鹿しくなって、私はゴミ臭い地下鉄の中で少しだけ笑った。

だって私はこの車両の中にいる人々の誰が何者でも然して気に留めたりしない。
こんな堂々巡りの自問自答をしていても仕方が無い。

何となく何か要らない物を手放せたような気がして、心が少し軽くなる。
座席に憂鬱を置き去りにして、私は電車を降りる。

階段を上って地上に出たら、外はまだ明るいだろうか。今日こそは何か素敵な事が転がっているだろうか。
きっと何事も起こらないだろう。けれど私はこうしてふらりと出掛けるだけで、何かを手放し何かを得ているのだ。
昨晩拡張したピアスの穴がしくしく痛む。

『単なる一個人』の私は地下鉄の出口に向かいながらMP3のボリュームを上げる。
[2010/04/15 02:42] | 小説―light | コメント(1) |
*うそつき*
Solanum americanum Mill

先々週は先週会えるって云った

先週は今週会えるって云った

今週は何も云って来ない

あたしと仕事

もちろん仕事の方が大切

だけど

期待ばかりさせないで

期待するくらいなら

最初から約束なんて

要らない。
[2010/04/09 19:22] | 短詩 | コメント(0) |
*ビーチグラス(non fiction)*
jewels

『そんな軒下に寄っていないで、まぁ入って行きなさい』
突然の通り雨に、雨宿りをしていた店の主人が、年季の入った扉を開けながら私を招き入れた。
『季節の変わり目は天気が変わりやすくて困るねぇ。さ、おあがんなさい』
コートを脱いで椅子に腰掛けた私に主人はそう云って、紅茶を差し出した。

店の中には落ち着いたジャズがかかっていて、棚に所狭しと色々な雑貨が置いてある。
『…ここは何のお店なんですか』
『私の趣味で、夢を売っている店だよ。歴史の古いアンティークや、世界中で買い付けてきた色々な物が置いてある』
主人は白い髭を指先で撫でながら、目を細めて自分の城を見渡した。
『お嬢さん、今日はお休みかい。お買い物か何かで街を巡っていたのかな?』
私は暖かい紅茶を啜った後、一息ついて答える。
『お嬢さんって年齢でもないんですよ。来年でちょうど三十だし』
『ほぉ…いや、最近の娘さんは見た目じゃわからないもんだね…結婚は?』
『してます。子どもはいません。欲しいとも思わないし。…だから、仕事も何もしていなくて、今日も何もすることが無くて街をふらふらしていたの。こんな年齢に成って行く宛てもなく歩き回るなんて、まるで自分が子どもみたい』
主人はほほほと笑った。
『良かったら、雨がやむまで店の中を見て行ったらいいよ。こういった物は好きかね』
『はい。大好きです。でも高そう…見るだけでもいいですか?』
もちろん、と主人は云ってカウンターの近くに置いてある使い込んだ椅子に凭れ、パイプに煙草の葉を詰めてマッチで火を点けた。その姿はやたらと決まっていたけれど、それをごく自然にしてみせる老齢の彼が、恰好良いなと素直に思える仕草だった。

『これは?』
アンティークジュエリーや陶器の人形、オルゴールなどが所狭しと陳列された棚の中から、私は色とりどりの飴玉みたいな欠片が詰まったガラス瓶を手に取った。
『ああ、それかい。それは、ビーチグラスだよ』
『ビーチグラス?』
『浜辺に打ち上げられた、ガラスの欠片さ。世界中から集めてきた』
面白いものだろう?人間が生成して、使い終わればゴミとして捨て、それが河川を下って海に流れ、長い時間をかけてこうした宝石のような物に変わって行く。
『自然は偉大だよ。こうして人の業をこうも美しい物に変えて還してくれるのだから』
私はコルク栓の嵌められたガラス瓶の中のビーチグラスを眺めながら、色々な事に思いを馳せた。
上手く行かない毎日の事や、下らない事ばかり考えてしまう自分の情けなさや、いつまでも大人になれないもどかしさを。

『上手く行かないんです。何もかも。何も不自由は無くて、寧ろ恵まれているのに、まだ先を求めてしまうんです。』
ふと口を衝いて出た呟きに、老店主はパイプの煙をくゆらせながら目を細めて頷いた。
雨は土砂降りの時と比べて、少し落ち着いてきた。それでも窓から見える外の景色は白く煙ったままだ。
『私って、十代の頃から何も変わらないんですよ。触れたら傷つけてしまう。そこに飾ってあるナイフのように、眺められるだけなら何ともないんだけど、ちょっと触れればすぐに他人を傷つけてしまうんです。自分で意図していなくても』
『…今は尖ったままでも、時間の流れに身を任せていれば、いつかこうして丸やかに宝石のように成れる日が来るさ』
主人はそう云って、カップに紅茶のお代りを注いでくれた。
私はビーチグラスを棚に戻して、席に座り、窓の外を眺めた。傘をさして行き過ぎる人々それぞれに人生があるのだと思うと、なんだかそれがとても怖くなった。人々それぞれが良くも悪くも全く個別の考えを持っている事が恐ろしい。
こういう考え方がいけないのだと思う。だけど、私は何でも悪い方へ悪い方へ考えてしまう。
今、せめてもの救いはこうして落ち着いた空間で暖かい紅茶の香りに包まれながら、綺麗な物に囲まれている事。主人が私に付かず離れず、話しかけたり黙ったりしてくれている事。

私は、小雨に成ってきた雨を眺めながら、今も私の為に働いていてくれる夫の事をほんの少し想った。
そして、こんな私を大切にしてくれる夫の事を本当は愛していない自分が酷い人間だと、改めて思った。
結婚したのも、なんとなく、と云った感じで、大恋愛の末に結ばれたわけではない。今でも、私の中で夫は仲の良い友達の範疇を出ない。
それを身を以て知ったのは、結婚した後、他の男性と恋に落ちてからだ。
彼の為なら何でもできる。こうしてふらふらしているなんて絶対にしない。朝は必ず彼が起きる前に起き、眠る時は彼の寝顔を見届けてから瞼を閉じるだろう。
私は幼稚な上に、酷い人間だ。こんな私が時間の流れだけで丸くなれるとは思わない。逆に、老いて行くだけなのではないだろうか。

『……私、夫よりも好きな人がいるんですよ。結婚しているのに、おかしいですよね』
この空間にいると、自然と本音が口を衝いて出てきてしまう。
『だから、家に居るのがつらくて。本当は彼の為に、奥さんとして何もしたいと思わないの。料理も、掃除も』
ふむ、と主人は云って、しばらく考えた後、椅子から立ち上がって云った。
『私も同じようなものだよ。こうして、物に魅せられて世界中を旅してまわって、遂には妻子にも愛想を尽かされてこの年齢だ。求めてしまうものは仕方がない。お嬢さんがしたいように生きればいいんだよ』
少なくとも私は、色々な物を失って来ても、今の自分に満足しているよ。
そう云って主人はビーチグラスの入った瓶をまた棚から取った。ガラス瓶の中で、ビーチグラスがからりと音を立てた。
『持って行きなさい。お代はいいよ。今日、お嬢さんに会えた記念に。』
雨も上がったようだ。またおいでなさい。不定休だから、店の電話番号のカードを入れておくから。
主人は臙脂色の紙袋に、紙で包んだビーチグラスの瓶を入れ、袋の口をシールで留めた。

あれから半年経った。
久々に訪れたその店の場所には、真新しいビルが建っていた。
事の真相なんて知れた事だし、私はそれを寂しく思いながら鏡張りのビルに背を向けた。
主人が私にくれたビーチグラスの詰まった瓶は、今も私の部屋の一番目立つ場所へ飾ってある。
[2010/04/09 04:27] | 小説―light | コメント(0) |
●元気ですよ(笑)●
こんばんわ。
どうも私が小説で『死生観』みたいな事を書くと、本気で心配されちゃうみたいです^^;
(前小説のような)
大丈夫です、全然しぶとく図太く生きてますよ~!
心配してくれてメールやメッセージくれた方々、申し訳ない^^;
何度も書きますが、ノンフィクションの場合はきちんとタイトルに『ノンフィクション』と入れますので、ご安心ください。
今日も私は元気です☆
[2010/04/09 01:40] | ブログ | コメント(0) |
*贖罪*
もしも神様がいるのなら、私の懺悔を聞いて欲しい。
そして、私に赦しを与えて欲しい。
だけどきっとそれは無理だろう。

私ほど罪深い女は類を見ないだろう。それでも、どうか赦して欲しい。
この苦痛が贖罪の証ならば、どうか私を赦してこの苦痛から解き放って欲しい。

私は神に縋った事は無い。けれど罪を重ねて良心の呵責に苛まれ、息もできないほどに苦しんで尚、生き続けなければならないのなら、それこそが耐え難い苦痛だ。
もう、神に縋るしか術は無い。

故意にでも、気づかない所でも散々に、人や自分自身を傷つけて生きてきた。
私は苦しんでいない時など無いし、道端を行く無邪気な人々を見る度、どうして自分はこのように能天気でいられないのか、と考えてしまう。
自分の頭が良すぎるとは決して思わない。逆に、人が悩まないような些細な事でいつまでも苦しんでいる自分が莫迦みたいだと思える事すらある。
人はそれぞれ悩みを抱えて生きている筈。それは当然の事だしそれが自然だ。
だけど、私の抉れた胸に詰まった血膿は流れ出し、この身体と心を浸食して行く。
神様がいるのなら…どうか私に赦しを与えて欲しい。

懺悔する事なら数え切れないほどあって、ふとした事でそれを思い出す度、私は云いようの無い感情にとらわれる。
だけど、それを懺悔したとして、それを神様が赦してくれたと云う確証はあるのだろうか。
教会や仏閣を訪れて祈りを捧げたり、自らを悔いたりもした。
けれど、何も変わらない。私の中では、何一つ。
血を吐くような苦しみからも、過去の鎖からも逃れられない。
それは心から神を信じていないからなのだろうか。何かの宗教に入って、その教えに従えば私はもうこれ以上苦しまなくて済むのだろうか。
何かを盲目に信じれば、私の犯してきた罪は赦され、魂は自由になるのだろうか。
きっと、それは違う。私が私である限り、もう過去の罪からは逃れられない。これから行おうとする贖いさえも、全て無駄だ。

だから、もしも神様がいるのなら、私のたった一つの願いを聞いて欲しい。
赦しも慈愛も要らない。たったひとつだけの願い。
たったひとつ。…私に安らかな死を。
それが、私に与えられる唯一の赦しなのだから。
[2010/04/07 20:40] | 小説―midium | コメント(0) |
●私が廓に惹かれるわけ●
こんばんわ。百瀬です。
相変わらず、首は痛いです…。さて、どうしたものか。。。

話は変わりますが、時々、私の書く小説の中に『吉原物・廓物』が含まれています。(前出の通り)
私は幼い事からこういう世界になぜかわかりませんがとても惹かれていたような気がします。
男が単に女を売り買いする場所、というわけではなく、確かに突き詰めれば売春窟であり苦界に違いありませんが、粋で流行の発祥場、皆がルールを守りながら江戸の文化として築き上げられて行ったものだと思うからです。

これからも時々、吉原物は入れて行く予定です。
宜しければ、読んでやって下さい^^
[2010/04/07 03:30] | ブログ | コメント(0) |
*桜戀歌*
cherry blossoms

こうしてあなたの傍に寄り添い、二人で桜の花を愛でる日々が訪れようとは、夢にも思いませんでした。
青空の下で、あなたが私に笑いかけてくれる事が、話しかけてくれる事が何よりも嬉しいのです。
例え、私の声があなたに届かなくても、例え、あなたが私に触れられなくても。

吉原の提灯に照らされた仲見世の桜並木を、花も盛りに八文字を踏み、番傘にひらひら舞い落ちる桜の花びらの儚さ。
作り笑顔で流し目を遣っていても、心はいつも上の空で、夜桜を美しいと思う事もなく、ただひたすらにあなたの事だけを想っていたのです。
行き過ぎる通りに群がる野次馬の中にあなたの影は無く、私は今夜もあなたに会えない事を知っているからこそ、こうして凛と前を向いていられたのです。
もしもあなたがここに居る事を知っていたら、解っていたら、とても正気では居られません。
絢爛豪華だけれど虚しい道中を続ける事なんて、私にとって無意味な物でしかなくなるからです。
幾ら大勢の禿や新造、若衆に褒めそやされて煽てられても、あなたが今ここに居てくれるのなら、私は道中も何もかも投げ出して、裸足であなたの傍へ駆け寄るでしょう。
そんな事を本気で思う私は狂っているのかもしれません。けれど、所詮は籠の鳥だと諦め、あなたがいついらしてくれるか、そればかりを考えて毎日を過ごします。
昼には部屋の格子越しに青空に映える桜を眺め、夜にはこうして雁字搦めの見世物になって桜の下を行く。
あなたと一緒に肩を並べて、桜の下を行く事は無い。
やがて桜は散り行き、私の胸の病も次第に悪くなっていったのです。

ある夜、あなたは座敷で湯呑を前に、懐から桜餅を出してくれました。
『外はもう葉桜だ。疲れただろう。お前も一服しなさい』
私はお医者様から頂いた咳止めの薬を飲み、桜餅を頂いたのです。
それはとても甘く優しい味がいたしました。途端に、堰を切ったように涙が溢れ出し、私は畳に突っ伏して声を殺して泣きました。
『どうしたのか。苦しいのか。』
心配そうに尋ねるあなたに、私はいいえ、と答えて、心の内を明かしました。
いつか、あなたと共に桜の下を歩みたい。けれど、それが叶う道理もない。
私は涙を拭い、あなたは黙ってそれを聞いていました。そして徐に布を取り出し、私の顔をそっと拭いたのです。
『私とて同じ心持だ。…お前は今夜も御座敷があるのだろう。泣いてはいけないよ。せっかく綺麗に造った顔が台無しになってしまう』
私の頬に充てられた藍色の布とあなたの大きな手の上から、私は自分の手を重ねて頷きました。
花魁で在るためには、強くなければなりません。涙など、男を繋ぎとめるためのただの小細工。けれどあなたに見せる涙だけは實であると、そう云って仕舞う事さえ手練手管のように思えて、私は泣くのを止めてあなたの胸に手のひらを充てたのです。
あなたの鼓動は力強く、ゆったりと私を癒す音がいたしました。

私とあなたが死別してから百年余り。
お互い、姿かたちは変わったとは云えど、ようやく大門の外の世界の桜を一緒に愛でる事が出来ました。
手を繋ぎ、肩を寄せ合って。願いはやっと叶ったと、神仏に感謝しようと思いました。
姿形の無い私の手を握っていても、あなたの手は空気を掴んでいるようなもの。
それでも、あなたが笑って話しかけてくれるので、私は今までにない幸福を感じているのです。
例え、この身があなたに触れられる事が無いとしても。
[2010/04/07 03:23] | 小説―light | コメント(0) |
◆光◆
a ladder

穏やかな日差しの中で、薫る風に包まれながら、あたしは天を仰ぐ。
若葉の梢が日に透けて、翡翠のように青空を彩る。
全てが、生きていると思える事。そう思える自分は数年前よりきっと幸福なのだろう。
あたしの中に刺さった棘は今もまだ、胸の奥でじくじくと痛む。
荊を踏んで歩いてきた足は、血まみれでも、まだ進む事ができる。
ただあなたに会いたいという気持ちだけが、あたしの生を繋ぎ留める。
こんなにぼろぼろになってしまっても、あなたの笑顔を見るためなら、どんな事だって出来る。
緩やかな丘に上り、眼下に広がる碧海と街並みを見渡せば、少し呼吸が楽になる。
あなたに辿り着くまで、きっとあともう少し。
振り向けば、丘の若草の上に柘榴のように点々と赤い足跡。痛む身体と裏腹に、歌い出したくなるような心。
あなたがこの世界に存在するだけで、どんなに痛めつけられてもあたしは大丈夫だ。
数年前まではこんな気持ちにはなれなかった。
痛む足を引きずり、胸から血を流し唇さえも赤く染めて、背中を鞭で打たれるように無理矢理前へと進んでいた。
全ては灰色に燻っていたし、何もかもが死んでいると思えた世界。
その世界の中で、唯一見出した光があなただった。
恋だとか愛だとか、そんな感情は既に通り越している。
あなたはただ、あたしの光なのだ。
生きている事を喜びだと感じさせてくれた、唯一の光なのだ。
[2010/04/06 05:43] | 随筆―smoking room | コメント(0) |
◆温めるだけの夢◆
talisman

美しい夢を見た。
それはあたしにとってこの上なく都合の良い夢で、目覚めたあたしは自分の愚かさを心で笑った。
何もかもが思い通りで居られる夢の中で、あたしはいつまでもこの夢が覚めませんようにと切に願った。

現実が不浄すぎるとは思わない。
けれど、現実に素晴らしい事が起こっても喜ばしい事が起こっても、それは何一つとして『今、この一瞬』にしか過ぎない。
過ぎ去れば、栄光すら思い出。現実に見る夢は叶える事が生きている証のように思われて。
それならば、眠りの夢の中で、これが夢とは気付かない振りをして全ての時間を止めていたい。
例えばもう戻らない、この世界には居なくなってしまった人と笑い合ったり、失ってしまった若さを取り戻していたり、愛されるはずもない人から一身に愛情を注いで貰ったり。
そのほうがいい。心が安らぐから。夢を見る事に、苦悩しなくて済むから。

夢の中に住んでいたい。
肉体の柵から解き放たれて永遠に夢を見ていたい。
けれど眠りの時に見る夢を愉しむ事が赦されたとして、現実では夢は叶えなければいけないと課せられているようだ。
現実に見る夢を叶えなければ、丸で人間失格とでも云った風に後ろ指を指されるか、小馬鹿にされるかのどちらかだ。
生真面目な人なら、それが原因で自分の人生を狂わせてしまう人だっているだろう。
何故、人は現実にも夢を持たなければならないの?
何故、夢を温めるだけで満足する事が怠惰だと云われなければならないの?

眠りから覚める時、夢路を踏み外す事は決して無い。
けれど醒めている時に夢路を踏み外すことは多々ある。

だけどどうか嘲笑わないで欲しい。
本当は知っている。温め続けた夢はいずれ孵化してしまう事を。
それをきちんと育めなかったからと云って、嘆いたり見捨てたりしないで欲しい。
あたしは、今はただ、眠っているだけの『夢』を温める。
目を閉じて、息を顰めながら。
[2010/04/06 01:46] | 随筆―smoking room | コメント(0) |
◆この目に見えないもの◆
世の中には存在していてもこの目に見えないものがたくさんある。
私の目には見えていても、他人の目には見えないものがあるだろうし、逆に他人には見えていても、私には見えないものも沢山あるのだろう。
私は色々なものを色々な視点から見られる人が羨ましい。
そして、それを何らかの形で表現出来る人が羨ましい。
所詮、この世の人間関係なんて無い物ねだりで形成されていて、誰かが誰かを羨むから世界は回っている。そんなことはとうに知っている。

だけど本当はもっとちゃんとした才能が欲しかった。
こんな中途半端な文章や絵の才能ではなく、突出した何かが欲しかった。
だから私はそれを手に入れるために、一日一日を無駄にしない事を誓います。
…なんて、そう云う事を云った日に限っていい加減な風に一日を潰してしまうのです。

この目に見えないものをどうやって表現したらいいのだろう。
他人に見えないものをどうやって伝えればいいのだろう。
私にはまだそれがわからないけれど、人間何も考えていない時なんかない。
ひらめくものを、上手につかみ取る技術を得る事が出来れば、きっともう無い物ねだりなんてしないで堂々と生きていけるだろうな、と思う此の頃なのです。
[2010/04/04 05:21] | 随筆―smoking room | コメント(2) |
*幻想の愛*(non fiction)*
モンバサの乾いた風に包まれて、彼女は今も元気に生きているだろうか。
愛だけを信じて、今も彼の帰りを待っているのだろうか。

彼女はタクシーの運転手と娼婦をしていた。ケニアでは珍しい事ではない。
インド洋を渡って、モンバサの港にフェリーが着いた時、もうすっかり日は沈んでいた。
港と市街地を区切るフェンスには、大勢のタクシー運転手が群がっていた。彼らにとって、フェリーで来航する外国人客はこの上ない上客なのだ。
フェンスの外に犇めくドライバーの中で、私は彼女を選んだ。
タクシードライバーにしては小奇麗なワンピースと洒落たボブのウィッグを被った彼女は親しげに私に話しかけ、車に案内してくれた。
『この辺で比較的安全なクラブなら二件あるわよ。ただ、別々のマフィアが仕切っているから、今日は私の馴染みのお店の方に連れて行くわ。良い所よ。』
彼女の黒い車には幾つかの弾痕があり、フロントガラスにも銃弾が突き抜けた跡があった。
治安はそれほど良くないとわかっていたけれど、こんな車を平気で乗り回す世界があるんだと思うと、自分の国ではほんの少しの擦り傷さえも気にして修理に出す人々がごまんといる事が、何だか馬鹿らしく思えてきた。

着いた場所は、一階がダンスフロアで二階がバーになっている大衆酒屋的な居心地のいい場所だった。
一頻りダンスフロアで踊った後、二階に上がって彼女とTUSKER(ケニアのビール)を飲み、話をした。
『私がタクシードライバーをしているのは、子どもが生まれたから…。昔は娼婦を仕事にしていたんだけれど、子どもが出来ると、相当困った時でなければ子どもを放っておいて娼婦の仕事は出来ないからね』
彼女はそう云って、ビールの瓶をくるくると回した。
『結婚しているの?子どもは何歳?』
『もう三歳になるわ。結婚はしていない。夫は故郷に帰っちゃって、いつこっちに戻ってくるかもわからないし…』
『どこの国の人?』
『…日本よ。あなたと同じ。ねぇ、ビジネスマンでヤマシタさんって人なのよ。トウキョウでしょ?あなた知らない?』
『東京にはヤマシタなんて名前、沢山いるし…ごめん、あたしにはわからないや。』
『そう…。彼は仕事でここに来てね、それで私と寝たの。私は娼婦だったからお金は貰ったけれど、ヤマシタさんだけは違った。三ヶ月いて、私はその間、彼の相手しかしなかった。彼の事を愛していたから…。彼は私の妊娠も分かっていた。きっといつか迎えに来るって約束して、沢山のお金を置いて行ってくれたわ。』
吹き抜けの一階フロアから立ち上る熱気と歓声の中で、私は残酷な真実を彼女に伝える事が出来なかった。

その男は、彼女をただ金だけで好きなように出来る、都合のいい娼婦だとしか思っていなかった。
でも彼女は、彼から受け取る金や時々プレゼントされる安物のドレスやアクセサリーを宝物のように大切に大切にしている。
そんなろくでもない男から受け取った、「命」というものを何より大切にしている。
何故なら、彼女は彼を愛しているから。
『…ずっと、愛しているわ。そして、待ってる。彼がいつか、私たちの子どもに会える日が来るように、毎日神様に祈っているわ。このブレスレットもね、彼が帰国する時に私にくれたものよ。』
彼女は細い腕にはめた、メッキの剥げかけた金色のブレスレットを大切そうに指先でなぞった。
『今は、どうしようもなく困窮した時だけ、身体を売る仕事をしている。マフィアのボスには稼ぎが無いって叱られるけれど…だけど、私がヤマシタさんを愛している事に変わりは無いの。だから、こんな生活の中でも私は希望を持って待っていられる。子どもも、お金も、何もかも、ヤマシタさんが私を愛してくれているから私にくれた…』

私はビールを飲み干して、カウンターでもう二本追加を頼む。
『ジュディだろ?あの子、あんたと同じ日本人の夫がいるらしいな。心当たりないか?』
店主に訊かれ、私は、彼女にも同じ事を聞かれたけれど私は知らない、と答えた。
この国に住む人々は、バカな日本人が欲望を満たすためだけに現地の女を金で買う事を知らない。
知らないと云うより、理解していないのだ。なぜなら、彼女が今も幸福そうに子どもと暮らし、「夫」の帰りを待ち続けている事に何の違和感も覚えないのだ。
実際、そんな黒人女性は星の数ほどいる。彼女たち全てが、いつかはきっと帰ってくるであろう「夫」を待ちながら、この貧困と危険に溢れた街で暮らしている。
席に戻った私は彼女に云った。
『いつか、帰ってくるよ。私も東京へ帰ったら出来るだけ探してみるから。約束する。もしも見つかったなら、その時は手紙を書くよ。』
これが私にできる、精一杯の気遣い。優しい嘘。東京へ戻ったって、そんなどうしようもないロクデナシの男、探すつもりなんて毛頭無い。
だけど、腕のブレスレットを大切そうに撫でる彼女に、本心と真実など云えるはずもなかった。

あれから十年経つ。彼女は相変わらず愛を信じて、弾痕だらけの車を走らせているのだろうか。
今日のモンバサは相変わらず広い青空が広がっているのだろうか。
見切りをつけて、割り切っていてくれればいい。私はそう願っている。
だけど彼女には無理だろう。彼女だけではなく、日本人の子どもを宿したアフリカの女性たちは皆、「夫」の帰りをひたすらに待ち侘びている。
愛だけを信じ、愛だけを心の拠り所にして。
[2010/04/01 18:19] | 小説―light | コメント(0) |
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*My Blue Heaven*


私の記憶の中から、思い出せる限りの事を『小説・文学』カテゴリに。   私の現在を、『ブログ』カテゴリに。

プロフィール

遊

Author:遊
Name:百瀬 遊(Yu Momose)
Birthday:01/28
Blood type: B
Sex:F

●がタイトルにつく場合ブログ、
*がタイトルにつく場合が小説です。

◆初期小説は、書き下ろしのノンフィクションを載せています。
※カテゴリ別に読んで頂ければ、多少なりわかりやすく表示されると思います。
※表記の多い、自傷、ドラッグ、売春はすでに卒業しています。
ドラッグと売春は犯罪ですので、(今更ですが)やっちゃダメな事です。
自傷は犯罪じゃないみたいですが、周りの人が痛いのであまりお勧めできません。
◆09年8月以降、フィクションを増やしていく予定です。
ノンフィクションの場合は題名に表記します。

※著作権・肖像権の侵害、あるいは転載などは禁止とさせていただきますので、よろしくお願いします。

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