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*犯罪者*
※本文とは関係ない写真…かもしれません。

秋の霧雨は音もなく静かに降り注いで、見慣れた景色を白く霞ませる。
傘をさして灰色の空の下を行けば、レザーのブーツにたちまち染みが出来る。
細い脚に、少し隙間の開いた、お気に入りのウェスタンブーツ。

今日、あたしは窃盗の容疑で逮捕された。
先に断っておくが、これは冤罪である。

事の成り行きは、以下。
あたしは休日の竹下通りを、人込みをかき分けて歩いていた。
竹下通りの店は、路上にはみ出して営業している店が多い。
そんな店の一軒に立ち寄り、指輪を眺めていた時の事。

路面に向けて並べてある指輪棚の裏で、店員がよろけて指輪棚にぶつかった。棚の上には大きめな、いかついシルバーリングが並んでいたので、その衝撃でいくつかのドクロの指輪が棚から落ちて路上に転がった。
あたしは手前の指輪を選ぶ手を止めて、路上に転がったガイコツの指輪を拾っては棚に戻してやった。
気に入ったリングがなかったので、あたしは店を後にした。少し歩いたところで、他の店員が後ろからあたしに話しかけてきた。
「お客さん、ちょっと、お店のもの盗んだでしょ?」
あたしは知らない、と答えたのだが、店員に促されるままブーツを脱ぐと、脚とウェスタンブーツの間に、確かにドクロのリングが一つ挟まっていた。
「さっき、拾うの手伝った時に偶然入っただけ。返すし、事故だから」
そう言っても、店員は聞かない。あたしは指輪を押し付けてそのまま去ろうとしたら、他のガイジン店員が、突然「逃ゲンジャネーヨ!」と言って、腕の筋がおかしくなるほど捻りあげ、後頭部を肘で思い切り殴りつけた。

何で?という思いと、軽い脳しんとうでフラフラになりながら、無理やり店に引き戻される。
「盗っていません!」「じゃ、何で靴ん中に隠してるんだよ!」
親切心でした事が、こんな仇になって帰ってくるとは。
「じゃ、警察に来てもらうから。警察呼ぶし、家族にも連絡するからね。」
「どうぞご自由に!盗ってないものは盗っていないんですから!」

あたしと店員が話し合っている間、あたしに暴力をふるった金髪巻き毛のガイジンは、FuckだのBitchだの、アホ、ドロボー、キチガイ、などと知りつくす全ての汚い言葉で、あたしを罵り続けていた。

何分も待たせた挙句、ようやく警官が来て、あたしは原宿署に連行された。
「言っておくが、逃げようと思うなよ。」警官はいつだって偉そうに、上から目線でものをいう。
「…逃げません。何も悪い事はしていませんから。」そういって、あたしはすたすたと歩く。

そこから先が、地獄だった。
取り調べ室で、飲み物もトイレも、薬(痛み止め=生理と、殴られた場所用)無しで八時間。
あたしが喉の渇きと尿意と、生理のつらさに耐えかねて、仕方なく「やりました」と言うまで。

意味のない脅しや厭味が続く。
「旦那にも旦那の職場にも、お前の実家にも警察から連絡が行くからな。」
「生理が何だ。そんな事が言い訳になるか。鞄の中身は全て確認中だから生理用品なんか出せないよ。漏らすなら漏らせばいい。」
「どうせお前は何度もやってるんだろう。手口が慣れているし、開き直ってるんだよ。ここまでしらを切って盗人猛々しいとはこの事だな。」
こんな事であたしは動じない。だってあたしは悪い事なんて一つもしていない。

どうしてあたしが自分の指2本も入るような、趣味の悪い大きなガイコツのリングを盗らなきゃならないわけ?自分ではつけられないし、ドクロの趣味はないから欲しくもない。盗る意味なんて無いでしょう。

店員は、自分の店の従業員が棚にぶつかってリングが落ちた事、それをあたしが拾うのを手伝ったことについては全く落ち度を認めず、「こちらは被害者ですから」と云い棄てて帰っていった。
死んじまえ。

精神的な拷問を、あたしが「やりました」と嘘の供述を始めるまで八時間、警官が何人も入れ替わり立ち替わりでしてきた。
あたしは、心の中で、世の中の『犯罪者・前科者』の半分はこうして作られるのかもしれない、と思った。

「やりました」と言ってからも、あたしには水もトイレも許されなかった。経血ですっかり重たくなったナプキンを着けっぱなしのまま、写真と指紋を撮られる。
これで、あたしも、前科者。

調書を作る係も、ほぼ憶測で作っていて、内容は要約してこうだ。
『私、百瀬遊は……通りかかった○という雑貨店で、指輪一点を、ブーツの中へ故意に落とし、そのまま逃走しようとした所を、店員に取り押さえられ…』
取り調べ室の中で、嘘の調書が読み上げられている。あたしは事実とは全く異なる調書の内容に、いちいちそれに頷く。
トイレに行きたい。お腹が痛い。体中が、殴られた場所が痛い。水が飲みたい。だから頷く。

調書に、ガイジンの店員があたしに暴力をふるった事は、一言も書かれていなかった。
勿論、あたしの腫れあがった腕や、首の後ろ、そして大きなこぶの出来た頭に対して、何の応急処置も無かった。水で冷やすことすら許されなかった。
同じ目に遭わせてやりたい。理不尽な暴力と罵倒。死んでほしい。

その事について尋ねたら、「もともとお前が万引きしたのが悪いんだろ?殴られて当然だ。」と一蹴された。
「もし、検察から連絡があったら、一応話してみろ。ただ、検察も同じに見ると思うよ?何しろ、逃走しようとしたのを捕まえたんだから、その外人はお手柄だ。」

あたしは窃盗なんてしていない。
だけど、あたしにはしっかり前科がついた。

親切心が仇になる街が、東京の繁華街。
もう誰も信じないし、誰かが困っていたって手も貸さない。
今回は、手を貸した故にこんな目に遭った。屈辱だらけだ。
見下されて、罵られて、叩きのめされて、こんな事は初めてだ。

もう二度と経験したくないから。
もう二度と経験したくないから、あたしはもうあの店には行かない。
あたしは誰かに手を差し伸べる事を止める。
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[2009/10/05 02:05] | 小説―heavy | コメント(4) |
*ラヴレター*
flower


言葉は何処にも入っていない。
だけど、心にちゃんと届いたよ。
こうして、あたしの手の中にも。
あなたが想った全てが。
[2009/10/02 02:00] | 短詩 | コメント(2) |
◆天才凡才秀才なんて。◆
dahlia
よく、『自分には何も無い、平凡で、これという夢もなく、凌ぐように毎日を過ごしているだけ』と嘆く人がいる。
そういうひとは、自分が不幸せだと言う。才能に恵まれなかった、と周囲を羨む。

例えば、年に数億稼ぐ事を誇りに思っている人と、稼ぐ事に全く執着しないタイプの人がいる。
一体どちらが幸せなんだろう。
きっと、たぶん、どっちも幸せなのだ。
稼ぐ事や事業を広げる事に生きがいを見出す事も、金銭ではなく精神的なものを求める事も、どちらも生き方としては正しい。
秀才であるか、天才であるか。
様々な分野に満遍なく力を発揮できる秀才なのか、一つの事にありったけを注ぎ込んで何かを作り上げる天才なのか。

きみは天才肌だね、と言われて、そうだろうな、と納得した。
きっと財産を残す事よりも、自分がいかに満足して生きて死ねるかに賭けている気がする、と言われて、その通りだ、と思った。
あたしは、それでいいと思っている。
それが幸せだと思っている。
でも、地位や名誉に固執する人もいる。
批判はしない。そういう人たちのおかげで、世の中成り立っている部分もあるのだから。

例えばあたしが一枚の絵を描く事に長けているとしよう。
それを認めてくれる人がいたとしよう。
すると、あたしには『それだけしか無い』のだ。『それだけの才能がある』という一発屋だ。

例えば誰かが会社を立ち上げ、成功に導いたとしよう。
それを成し遂げる幅広い知識と手腕があったとしよう。
すると、その人にも『それだけしか無い』のだ。『何かたった一つの事にありったけの情熱を注げる』わけではない。

太く短く、細く長く。広く浅く、狭く深く。
誰だって苦悩して、その上で得た収穫に喜ぶ。

秀才と天才は違えど、それぞれ満足して一生を全うできるのだろう。
それは、とても幸せな事だ。

例えば誰かが『自分は秀才でも天才でもなく、凡才なのだ』と鼻から決めつけていたとしよう。
自分には何のとりえも価値もない、と思っていたとしよう。
そう決めつけただけで、その人の道は閉ざされる。
自分には何かがある、そう信じて生きてこそ、生きる事に価値がある。

才能が認められなくても、肩書きがなくても、凡才だとは限らない。
ひとは誰でも、秀才、天才。
それに気づくか素通りするかは、自分次第。

『自分には何も無い』なんて、そんな事は絶対にない。
決めつけているだけ。評価されてこそ、という固定概念を鵜呑みにしているだけ。
生きる価値は、評価では決まらない。
誰もが、どちらかのタイプなのだ。天才か、秀才か。
世の中のくだらない賞与にこだわらなければ、もっと幸せに生きられるんだよ。
[2009/10/02 01:22] | 随筆―smoking room | コメント(2) |
◆帰る場所を間違えないで。◆
雨の夜景

小雨の降る夜更け、なかなか家に帰れない。
あたしの歩調に合わせて、ゆっくりと歩いてくれるあなたは、「この道は車で何度も通った事があるけれど、歩くと景色も違って見えるもんだな…」と呟いた。

煙草が切れた、と言うあたしに付き合って、あたしの棲むマンションを過ぎて、コンビニまで歩く。
呑み屋を出た時は、「そこの大通りまで送るよ」って言ったのに、いつのまにかこんなに遠くまで一緒に歩いてくれている。

煙草を買ってコンビニから出たら、通りを挟んだ向こう側に彼は居て、少し高台になった道端から下に広がる夜景を眺めながら、「この辺りもすっかり変わったな」と呟く。

「久々に来たけど、そこの枇杷の木も大きくなったな」
「迷信だけど、枇杷の木って主人が死なないと実がならないって言うよね」
「そしたら枇杷農家、何人死んでるんだよ」

「あたしね、小さい頃、雨が降るとこういう手すりに垂れ下がっている雨粒を、ずっと眺めてるのが好きだった」
「子どもってそういうの好きだよな。」

他愛もない会話。なんでもない雑談。
でも霧雨に霞んだ夜景を眺めながら、2人とも、帰れない。
お互い、帰りたくない。お互い帰るべき場所があるけれど、帰れない。
でも帰るべき場所を間違えないで。
わたしもあなたも帰るべき場所へ迷わずに帰りましょう。

名残惜しむようにあなたが歩き出す。わたしはつかず離れすの距離で歩く。
マンションの前で、おやすみなさいを云う。
急いで階段を上って、下の道路を見下ろすと、私を見届けてから、煙草に火を点けて歩み去る彼が見えた。

部屋に入ってから、『今日はありがとう、とても楽しかったし嬉しかった』と、メールしたら、『君が楽しいなら、俺も嬉しいよ。今、家に向かっている所』と返事がきた。

『帰り路を、間違えないでね。』
送信して、切なくなった。帰るべき場所って、本当はどこにあるんだろう。
[2009/10/01 03:20] | 随筆―smoking room | コメント(2) |
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*My Blue Heaven*


私の記憶の中から、思い出せる限りの事を『小説・文学』カテゴリに。   私の現在を、『ブログ』カテゴリに。

プロフィール

遊

Author:遊
Name:百瀬 遊(Yu Momose)
Birthday:01/28
Blood type: B
Sex:F

●がタイトルにつく場合ブログ、
*がタイトルにつく場合が小説です。

◆初期小説は、書き下ろしのノンフィクションを載せています。
※カテゴリ別に読んで頂ければ、多少なりわかりやすく表示されると思います。
※表記の多い、自傷、ドラッグ、売春はすでに卒業しています。
ドラッグと売春は犯罪ですので、(今更ですが)やっちゃダメな事です。
自傷は犯罪じゃないみたいですが、周りの人が痛いのであまりお勧めできません。
◆09年8月以降、フィクションを増やしていく予定です。
ノンフィクションの場合は題名に表記します。

※著作権・肖像権の侵害、あるいは転載などは禁止とさせていただきますので、よろしくお願いします。

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