数年前の事だった。
勤め先の花屋で、新人だったあたしの面倒をみてくれていた先輩社員があたしに云った。 『今度、うちの息子と剣道の稽古してやってくんない?』 あたしはちょっと困った。何しろ彼の子どもとは面識が無いし、あたしは剣を教えられる程の腕前でもない。中学高校と、部活でちょっと齧っただけだ。 『紅林さんが教えてあげたらいいじゃないですか。あたしの剣道なんて滅茶苦茶だし。』 お情けで二段を貰ったあたしより、ちゃんと六段持ってる彼のほうが絶対に良い師匠だ。 あたしは左利きだから竹刀がどうしても大振りになるし、足さばきも悪い。 全てが右利き用に作られている防具一式を身に着けると、手本通りの動きが上手くできずに、本当にめちゃくちゃで型破りな剣の振り方をする。 『それでもサシでやったら強いじゃん。モモは戦国時代だったら絶対生き延びるタイプだよな。』 『なにそれ』 『教科書通りじゃなくても、竹刀を本物の剣だと思い込んで必死な感じ。』 『…なにそれ。』 『ま、とにかくウチの子さ、ガッチガチに固いんだ。だから稽古してやって。』 結局、あたしは惚れた弱みで断りきれなかった。惚れた腫れたと云っても最終的には仕事で彼に認めてもらえればあたしは満足だった。 あたしたちの間には信頼関係以外、何の関係も無い。あたしは今までもこれからも、彼の家庭をどうこうするつもりはなかったし、立ち入るつもりも無かった。 それが奇しくも、あたしは彼の息子―――ショウマと毎週土曜の夜に区内の体育館で稽古をする事になってしまったのだ。
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はい。皆様お待ちかねの罰ゲームでございます。
しかも、何でだか自主的にやっちゃってます。 百瀬の考察する究極のエロチシズム。。。 覚悟は出来ましたか? それでは、張り切ってドーゾ! |
今晩和。やっと「母の日の戦い」から解放されました。。。
(本職:花屋) 今年はGW明けから日曜まであまり間が無かったので、駆け込みのお客さんが多くて困りました^^; それでも、何とか乗り切る事が出来ました。お疲れ様です。 さて。話は変わりますが、私が小説を書く上でこだわっている事があります。 それは、「言う」を「云う」と表記する事、「私」を「あたし」と表記する事です。 理由は…単なる好みなのですが(笑)、敢えて云うと 「言」ににんべんをつけると「信」、「云」ににんべんをつけると「伝」になります。 物語りとして書く以上は「云」のほうが相応しいかと思いまして…。 「私」を「あたし」と書くのも、漢字へのこだわりと、読み手に与える軽さを考えています。 ************************************ ところで、百瀬の小説の読者様であるペカペカリさんのHPで、 素晴らしい紹介記事をいただきました。来てみてよかった/芸術としての物語 丁寧な記事を、本当にありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。 |
…してみたいw
でも、店長は私がいなかったら困るだろうな~と渋々出勤。 明日が母の日本番、だけど今日実労10時間。 休憩なし。 明日は朝一で配達3軒。めんどくさいです。 行きたくない。。。家で小説書いていたい。。。 |
あたしは物事を深く考えた事が無い。ただ感じるのだ。
だから他人の主張や哲学と云うものが苦手で、そういうものを記した本を手に取った事が無い。 モノを書く人間が何を云う、と云う意見はもっともだけれど、あたしは何も考えていない。ただ感じた事に、少ない手持ちの語彙をひっつけているだけだ。 ―――だから、あたしの思想とやらに賛同するなんて無駄なんだよ。 あたしが幾らそう諭しても、あなたは聞く耳を持たない。 |
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*My Blue Heaven* |
私の記憶の中から、思い出せる限りの事を『小説・文学』カテゴリに。 私の現在を、『ブログ』カテゴリに。
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