スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[--/--/-- --:--] | スポンサー広告 |
*贖罪*
もしも神様がいるのなら、私の懺悔を聞いて欲しい。
そして、私に赦しを与えて欲しい。
だけどきっとそれは無理だろう。

私ほど罪深い女は類を見ないだろう。それでも、どうか赦して欲しい。
この苦痛が贖罪の証ならば、どうか私を赦してこの苦痛から解き放って欲しい。

私は神に縋った事は無い。けれど罪を重ねて良心の呵責に苛まれ、息もできないほどに苦しんで尚、生き続けなければならないのなら、それこそが耐え難い苦痛だ。
もう、神に縋るしか術は無い。

故意にでも、気づかない所でも散々に、人や自分自身を傷つけて生きてきた。
私は苦しんでいない時など無いし、道端を行く無邪気な人々を見る度、どうして自分はこのように能天気でいられないのか、と考えてしまう。
自分の頭が良すぎるとは決して思わない。逆に、人が悩まないような些細な事でいつまでも苦しんでいる自分が莫迦みたいだと思える事すらある。
人はそれぞれ悩みを抱えて生きている筈。それは当然の事だしそれが自然だ。
だけど、私の抉れた胸に詰まった血膿は流れ出し、この身体と心を浸食して行く。
神様がいるのなら…どうか私に赦しを与えて欲しい。

懺悔する事なら数え切れないほどあって、ふとした事でそれを思い出す度、私は云いようの無い感情にとらわれる。
だけど、それを懺悔したとして、それを神様が赦してくれたと云う確証はあるのだろうか。
教会や仏閣を訪れて祈りを捧げたり、自らを悔いたりもした。
けれど、何も変わらない。私の中では、何一つ。
血を吐くような苦しみからも、過去の鎖からも逃れられない。
それは心から神を信じていないからなのだろうか。何かの宗教に入って、その教えに従えば私はもうこれ以上苦しまなくて済むのだろうか。
何かを盲目に信じれば、私の犯してきた罪は赦され、魂は自由になるのだろうか。
きっと、それは違う。私が私である限り、もう過去の罪からは逃れられない。これから行おうとする贖いさえも、全て無駄だ。

だから、もしも神様がいるのなら、私のたった一つの願いを聞いて欲しい。
赦しも慈愛も要らない。たったひとつだけの願い。
たったひとつ。…私に安らかな死を。
それが、私に与えられる唯一の赦しなのだから。
スポンサーサイト
[2010/04/07 20:40] | 小説―midium | コメント(0) |
*時には紡ぐ手を止めて。(non fiction)*
母が老後の楽しみとして買った紡ぎ車は今日も回り続ける。
母は通信販売で買った羊毛に縒りをかけながら、紡ぎ車のペダルを踏み続ける。
「こうしていれば、少しは気分も紛れるものよ。この紡ぎ車が来るまでは、家に居るのがつらくてつらくて仕方が無かったのだけれど、こうして毛糸を紡いでいれば少しは楽になれるから」

家がつらくて仕方が無い、というのは全て、彼女の娘・私の妹に原因がある。
数年前まで名古屋に住んでいた妹は、浪費と人格の悪さであっという間に独り暮らしの生活を破綻させた。
今は長野の母の家に居座って、一番大きな部屋をせしめて家賃も払わず、ゴミ溜めになった部屋で煙草を吹かしてパソコンに向かっているか、親の財布から抜いた金でパチンコを打っているかのどちらかだ。
恋人はいるようだが、どの男とも長続きしたためしはない。それは当たり前だ。彼女と云ったら丸で、生ごみの詰まった袋にメッキをかけているようなものだから。
本性がばれればすぐ捨てられる。それは当たり前な事なのに、彼女にとってそれは当たり前の事ではない。自分を見限った男の全てが悪い、坊主憎けりゃ袈裟まで憎し、といった具合に荒れ放題に荒れ、自分の問題なのに家族に八つ当たりし、金を無理やり毟り取ってはパチンコ台の餌にする。

「もうね、生活も限界なのよ。私もミノリ(姉)ももう追いつめられて…休日になるとあの子から逃げるように観光に出て、外食ばっかりしているから」
そう呟きながら、母は所々細かったり太かったりする毛糸の山を造って行く。
「私はね…愛してもいない人と結婚して娘を三人産んで、それでも娘たちには最大限の愛情を注いできた。そのつもり。それがどうして、こんな事になっちゃったのかしらね」
…外で車の音が聞こえると、あの子が帰ってきたんじゃないかしらって心臓がばくばくと鳴るの。あら、いけない。心が動揺すると、糸を縒る事が出来なくなってしまう。
そう云って母は、目頭に溜まった涙を押さえた。あたしは新築の家に取り付けられた薪ストーブの炎を見つめながら、黙ってそれを聞いていた。
「ミノリの障害者年金も積み立てていたものも全部あの子に持って行かれた。家庭裁判所から通達も来ているし、家に居れば借金の督促電話が何度もかかってくる。もうこれ以上は出せないから、持っている財産全てをこの小さな家に変えてしまったの。もう一銭も持って行かれないように…」

「だから云ってるじゃない。法的に縁を切って追い出せって。もう一年以上も、あたしはお母さんにそう云ってきたはずだよ。それなのに…」
「だって、どんな娘だって自分の娘よ。捨てる事なんて出来るわけ無いじゃない。それに…」
…それにあの子だって、いつかはユウのように立ち直ってくれるかもしれないし…
「そんなの淡い幻想だよ。あたしだって自分の力だけで立ち直れたんじゃない。周りに『育て直し』をしてくれるような人に恵まれた、ただのラッキーな人間ってだけだよ。残念だけど、あの子が自分の性格や性質を変える日なんて、此処にいさせて甘えさせている限り死ぬまで来ないよ」
あたしは嘗て、もう他界した父親に受けた仕打ちのトラウマからひどい精神状態に陥り、一時期は廃人のようになっていた。
けれど、周囲の支えと自分の負けん気で踏みとどまって、此処まで戻って来られたのだ。

妹に関しては言わずもがな、ゴミに埋もれても平気で新しい服をカードで買って即日ゴミにしてしまうような性格。
六十を過ぎた母親が介護ヘルパーをして、人々のシモの世話をして稼いだ金を平気で毟り取って行くような性格。
たまに来るメールは、さもさも自分が苦しんでいて、本当は自分が正しく真人間なのに周囲が悪いだの、起きた事に対する言い訳などが原稿用紙にして十枚くらいの長文で送られてくる。
自分を正当化するための手段に、あたしを使おうとしているのだ。自分の送ったメールの内容を、何時も何でも『お姉ちゃん、難しい事わかんな~い』とはぐらかすあたしに信じ込ませようと必死なのだ。
彼女にとっては自分が正義。だから、小言を云ってくる親など邪魔なだけで、金さえ引き出せて寝る場所を与えてくれるなら何処にだって寄生する人間。
小賢しいようだけれど、頭は悪い。あたしにそんな嘘八百のメールを送ってきて、それを見抜く目が無いとでもおもっているのだろうか。
上から金粉を塗りたくっても所詮中は生ごみの詰まった袋、臭いを嗅げばすぐわかる。

「いつか、お母さんが居なくなる時に…一番酷い目に遭うのはミノリ姉ちゃんだよ。障害者年金あてにされて、とっかえひっかえロクデナシの男連れ込んで、せっかく建てたこの家を荒らされて、最終的には施設に入れられるだろうね…そこはわかってるよね」
「……わかってる。だから、あんたたち夫婦はミノリの後見人に、あの子には私が死んだら即刻家を出て貰うように、遺言状もきちんと用意したわ」
紡ぎ車はからからと音を立てながら回り続ける。
あたしは薪ストーブの炎が揺らめく様に見入りながら、考える。口には出さないけれど。
―――そりゃ、死んだ後の事をそうやって丸投げにするのは楽だよね。だけど、お母さんは死んでもう楽になれるんだから後の事は任せたなんて我儘にもほどがあるよ…

「今追い出さなかったら、お母さんは一生こうしてあの子に怯え続けなきゃならないんだよ。追い出す、っていう云い方が悪いのなら、自活してもらう、といい換えてもいい。とにかくこの家にこれ以上居させちゃだめだよ」
「そうね。私もそう思うわ。だけど、自分の子どもを捨てる事なんてとても出来ない…」
毛糸の玉がまたひとつ、卓上に積み上がる。

「お母さん、その毛糸、編む予定が無いならあたしに頂戴。ざっくり編んでベストにするから」
あたしがそう云うと、母はしわとシミが目立つようになった手で紡ぎ車に糸をかけながら、全部あげるから持っていっていいわよ、と云う。
表で車の音がする。母親の表情が強張るのがわかる。
「……ああ、お隣の車だったわ…」
安堵の色を浮かべた母は、また紡ぎ車のペダルを踏み始める。今度の羊毛は藤色だ。

ねぇお母さん、糸を紡ぐのを止めてよ。ちゃんと現実を見て頂戴。
そうやって自分の趣味に没頭する事で心の均衡を保とうとするのは良い事かもしれない。けれど、現実問題は何も解決しないんだよ。
積み上がった不揃いな毛糸玉など何にもならないのに、編もうと云う気も起こしていないくせに、こうやっていたずらに積み上げるだけ積み上げて、紡いで、紡いで、紡いで…それがいったい、何になるの?

「いいよ。お母さんがそこまで摩耗していてもあの子を見捨てられないなら、あの子にウチに来てもらう。東京で生活してもらう。それ以外に、お母さんとミノリ姉ちゃんが救われる道なんてないでしょ?」
「それは駄目よ!ユウには一番苦労をさせてきたと思っているのに、これ以上無理強いなんて出来るはず無いじゃない。気持ちだけで充分、ありがとうね」

でもねお母さん、それじゃ何にも解決しないんだよ。
時には幾ら過酷でも、現実と向き合って賽を振らなきゃならない事がある。
そんな現実を遮断するように、母は一心不乱に紡ぎ車を回し続ける。丸で、止めてしまったらこの世の終わりが訪れる、と云わんばかりに。
[2010/02/25 00:35] | 小説―midium | コメント(0) |
*月のない夜に*
皆が寝静まった住宅街の真ん中で、冷たい風なんてどこ吹く風で、抱き合った。
彼氏が待つ、あたしのマンションの目の前で。彼氏とは違う、あたしの大好きなひとと。

分厚い服が、邪魔だった。それでも出来るだけ距離を縮めようと、お互いを強く抱きしめた。
愛なんて物に縛られない。これは、ただの慾情だ。
何度も何度もキスをした。彼の唇は暖かくて、少しお酒のにおいがした。彼の頬は冷たく乾いていた。

こんな形で抱き合っていても、愛情を確かめる術にはならない。それでも離れられなくて、あたしはブーツの踵を精一杯上げて彼の肩にしがみついていた。

「ここはお前の家に近すぎるだろ。大丈夫かよ」
「大丈夫大丈夫」
「大丈夫じゃないだろ」
彼は、いつだって慎重だ。

あたしもかなり酔っていた。そんなあたしの手を握って、一区画離れた路地に入り、また抱き合った。
離れたくないよ。もっと傍に来て欲しいよ。

薄暗い路地でキスを続けていると、彼があたしのダウンジャケットの下から手を入れてきた。
「俺、最低な人間だし。いつまでもこれ続けてたら、もっとしたくなる」
そう言って、ジャケットの中であたしの上半身を両手で撫でた。
「いいよ。いくらでも触ってよ」
あなたが自分を最低な人間と蔑んでも、あたしにとってあなたは至上の人間。
あたしこそ、最低な人間で、この手は汚れきっていてあなたを抱きしめるなんて烏滸がましいと思える程、汚れきっていて。
それでもあなたはあたしをこうしてしっかり抱きしめてくれる。

「あんまり可愛いと、こういう事するよ」
彼がスカートの中に手を入れてきた。あたしは抗う事も無く、彼の冷たい指があたしの中に入ってくるのを受け入れた。
あなたの尊さに、腐った自分自身は引け目を感じながら。
「ね、待って。あたしだけじゃ・・・」
「いいよ。いっていいんだよ」
彼がそう囁くので、あたしは素直に身を任せた。
月のない夜。宵闇の中の刹那。
冷たい指にあたしの身体は暖かいのかな。
あなたの身体はあたしを欲してはいないのかな。
こういうのって苦しいだけだよ。だけど、あたしの脆い神経は自分勝手に暴走し、我儘な身体は彼の身体に只管しがみつくだけだ。

「いった?」
「・・・うん」
「よしよし」
彼はあたしの頭を撫でて、何度も何度もキスをくれた。
それじゃ駄目なのに。あたしだけよくても、何もならないのに・・・。
相手の性を自分勝手にコントロールする事を汚すと言うけれど、あたしは逆に彼を汚してしまったようで、そう仕向けてしまったようで、なんだか切なかった。
「・・・あたしだけ、いいの?」
「いいよ。俺はこんな場所でどうしようもないだろ」
彼は優しく笑って、頬に、唇に、首筋に何度もキスをしてくれた。

「俺が駄目人間なのはいつもの事だから、心配されても困る」
そう言って、彼はあたしの目を見た。
さっき抱き合っていた時に、あたしが何度も何度も、大丈夫だよ、きっと全部上手く行くよ、と呟いていた事に対する答えだった。
「あなたはいつも頑張っているのにね、それなのに自分を駄目人間なんて言ってるの見ると、支えたくなるんだよ。少しでも、支えになりたいと願うの。傲慢かな」
彼は何も答えなかった。

愛なんて物に縛られたくない、と思うのに、これが愛情の無い行為だと思うと、少し寂しい気がするよ。
だけど、いいんだ。
愛、なんて、陳腐な言葉に成り下がってしまったけれど、あたしは今、それに縛られてしまった。

「お前の髪、甘い匂いがする」
彼はあたしの短い髪に頬を寄せて囁いた。
あたしはもう、何も言えなかった。
[2010/01/10 00:26] | 小説―midium | コメント(0) |
*空を仰ぎ、大地を抱く*
それはとても長く果てしなく続く砂浜に思えた。
少し湿った砂の上をゆっくりと歩きながら、わたしは波打ち際に近づく。
海は凪いでいて、打ち寄せる波は、ほんのささやかな泡を残し、水面には瑠璃色の漣が細かく、規則正しく動いていた。

砂の上ににあおむけになって、空を見上げる。
吸い込まれそうな空の青は、勿忘草のようにほんの少し紫がかった水色だ。夕暮れが、近い。
あたしは横たえた体の感覚全てを使って、地球が動いているしるしを捉えようとする。

眼を閉じれば、体は重く砂に沈み、自分の鼓動がはっきりと聞こえる。
砂に沈んだ体に、ゆっくりとした一定のリズムが響いてきて、わたしは、ああこれが地球の動いているしるしなのかな、と想った。

静かな波の音が体中にしみわたって、わたしの足元は少しずつ海水に浸って行く。頭の先まで水に浸り、洗い流されて、わたしは目をあける。
からだは、元の砂浜に横たわったまま。波も、足元から少し離れた所で、相変わらず規則正しく砂を黒く濡らしていた。
ゆめを観たのだ。わたしはそんな体験を何の疑いも無く受け入れて、上半身を起こし、まだ少し眩しい夕日を見つめた。

光は、生きていた。意思のあるものだけが、生きているとは限らない。
光は、きちんと生きて、何万光年もの果てから地球を照らしている。
地球は絶えず動き続けて、この砂浜に波を送り、空は果てしなくこの世界を包み込む。

あたしは涼やかな風に吹かれながら、今この瞬間に全てのヒトが滅亡すればいいのに、と想った。
それは破壊衝動からくるものではなく、厭世的になっていたわけでもなかった。
世界はただ、ひたすら幸福だったから、あたしは世界の滅亡を願った。
これ以上ヒトに穢される前のなら、今の景色を、限々のところで美しさが残るままで亡くしてあげたかった。

『今、滅びたい、って思う。』
あたしは、隣に横たわっている彼に向ってそう言った。
『生きていても仕方がない、とかそういうんじゃないの、ヒトは存在するだけで罪だなぁって…。』
だから、これ以上海が濁る前に、空が曇る前に、緑が失われる前に、きちんと在るべき姿に還してあげたいって思う。
地球が滅びるのが不可能ならば、せめて人間だけでも一瞬で蒸発させてしまいたい。
それに、みんな一緒にいなくなるのなら、誰も悲しまないでしょう?

彼は言う。
『ヒトが滅んだら生態系もめちゃくちゃになるんじゃない?そうしたら、ヒト以外にも絶滅する種は沢山あるよ。』
『……でも、結局最後には何かしら残るよ。バクテリアとか、そういうのが。本来の地球にいたモノだけが残ればそれでいいんじゃない。』

だからわたしは、きわめてポジティヴな考えで、人間の滅亡を願うのだ。
美しすぎる、壮大すぎる景色を目の当たりにして。

あたしはまた砂浜に横たわって、自分の事について考えてみた。
あたしは、何をするために生まれてきたのか、そんな原点から、いまの自分の存在意義まで。
だけど結局たどり着くのは、滅びたい、滅ぼしたい、という想いだけだ。
それが、人間以外の全てのモノにとって、幸いであることは間違いないからだ。

『あたしはたぶん、壊すために生まれてきた。』
そう呟くと、彼は、そんな寂しい事を言うなよ、と笑った。
『寂しい事じゃなくて、正論なの。自分の中の欲望や葛藤や、そういうものを何もかも削ぎ落としたら、残ったのはその感情だけなの。』
滅びたい。滅ぼしたい。壊したい。壊れたい。自分のためではなく、誰かのためでもなく。

波打ち際のうたかたは白く弾んでは消え、海に還る。
川を下り、波に洗われた流木は、滑らかな肌を無防備に晒して、貝の欠片を纏って灰色の砂を彩る。
空は次第に朱鷺色に染まりゆき、東の空には青白く輝く三日月と、泣きぼくろのような金星が瞬いている。

美しいものは次第に奪われて失われて、傷つけられて食い荒らされる。

少し離れた海岸線沿いの緑は伐採されて、大きなクレーンがコンクリートの味気もそっけもない建物を造り続けている。
何年後かのこの海岸線や砂浜を想うと、あたしは、今この時に全て滅せよ、と想わずにはいられない。

『おれたちだって生きているんだからさ、それを楽しむ事が存在意義なんじゃね?』
彼はそう言って煙草に火を点ける。
『ユウも自分が生きている事を楽しんだらいいじゃん。そうでなきゃ、生まれた意味なんてねぇだろ?』

あたしは黙って、砂を握りしめた。
楽しんでいるよ。嫌味じゃなく、心底この世界を楽しんでいるんだ。
愛しているよ。焼糞じゃなく、心底この景色を愛しているんだ。

だからヒトが滅ぶなら、あたしは生まれて初めて心から幸せだって思える。満足だって言える。

あたしがそう言うと、彼は、何言ってんだか全然わかんねぇよ、と言って笑った。

橙色の太陽は、薄紅の尾を引いて、水平線の上に在る雲の中へ落ちて行った。
壊されかけた地球にいるはずなのに、あたしにはその景色の何もかもが、輝いて見えた。

茜色に染まった頬に、自分でも感情の判別ができない涙がひとすじ流れた。
あたしはうつ伏せになって地球を抱きしめて、真摯な気持ちで、何度も何度も滅亡を願った。
[2009/11/24 05:12] | 小説―midium | コメント(0) |
*無我*
RING
 あたしの中に生きる細胞のひとつひとつが、わたしの死を叫ぶ。
 これ以上、クスリを摂取したら、心臓麻痺で死んでしまうよ。
 もしも戻れたとしても、頭の中は確実に壊れて行くよ。
 あたしはその声を無視して、パイプにハシシを詰め、ライターでゆっくりと炙って煙を吸う。
続きを読む
[2009/09/17 23:48] | 小説―midium | コメント(0) |
| ホーム | 次のページ
*My Blue Heaven*


私の記憶の中から、思い出せる限りの事を『小説・文学』カテゴリに。   私の現在を、『ブログ』カテゴリに。

プロフィール

遊

Author:遊
Name:百瀬 遊(Yu Momose)
Birthday:01/28
Blood type: B
Sex:F

●がタイトルにつく場合ブログ、
*がタイトルにつく場合が小説です。

◆初期小説は、書き下ろしのノンフィクションを載せています。
※カテゴリ別に読んで頂ければ、多少なりわかりやすく表示されると思います。
※表記の多い、自傷、ドラッグ、売春はすでに卒業しています。
ドラッグと売春は犯罪ですので、(今更ですが)やっちゃダメな事です。
自傷は犯罪じゃないみたいですが、周りの人が痛いのであまりお勧めできません。
◆09年8月以降、フィクションを増やしていく予定です。
ノンフィクションの場合は題名に表記します。

※著作権・肖像権の侵害、あるいは転載などは禁止とさせていただきますので、よろしくお願いします。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

FC2カウンター

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。